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無駄に荘厳

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/04(金) 02:21:34.09 ID:uRGWX7Ux0
http://sougons.exblog.jp/
まとめ

もう勘弁してくれとこのうえなく荘厳に言いたい。

358 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/05(土) 05:45:25.51 ID:oyqAoFYg0

リビングでは、兄がただ何をするでもなく座っていた。
ここのところ、妹である荘厳とは会話を交わしていない。
原因はわかっていた。あの、男とのやり取り。
あれ以来、荘厳の口から男の名前が出ることが少なくなった。
名前が出てきたときでも、話しかけてくれなかった。態度がよそよそしかった、というマイナスの報告を伴っていた。
きっと荘厳は気付いている。その理由が、兄の自分であることを。
重苦しいため息が漏れるのと、ガチャリと音を立ててリビングのドアが開いたのは、ほぼ同時だった。
兄が肩越しにそちらに視線を向ける。荘厳が兄を睨みつけるように見つめていた。
荘厳「…お兄様、男様に何を言いましたの?」
いよいよ、きた。
いつかは聞かれると思っていた質問。しかし、いざ実際にその場面になると、さすがに動揺した。
兄「……間違ったことは何も言ってない。ただ事実を告げただけだ」
声が震えていなかっただろうか。
荘厳のオーラは兄にまで影響を及ぼすものではない。
しかし、その完璧な美しさを湛えた表情に浮かぶ、悲しみ、憂愁、そして怒りは、圧倒的な威圧感を見るものに感じさせた。
荘厳「…やっぱり、お兄様のせいだったのですね。男様が…私にあんなことを言われたのは」
兄「な……あいつ、お前に何を言いやがった!!」
兄は思わずソファから立ち上がる。荘厳と、正面から向き合う形になった。
荘厳「…『もう俺には話しかけるな』、と」
兄「…あの野郎、よくもぬけぬけとそんなことを…」
拳を握り締めた兄に、荘厳はキッと鋭い視線を向けた。
射ぬかんばかりの、怒りを含んだ強い視線。
荘厳「男様を悪く言うのはやめてください!! 元はといえば、お兄様が男様に何か言ったのが原因なのでしょう!?」
兄「俺はお前のために、男の意思を確認しただけだ!」
荘厳「男様との関係は、お兄様に口出しされるようなものではないと言ったはずです!!」


359 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/05(土) 05:46:39.08 ID:oyqAoFYg0
荘厳が言い切ると同時に、リビングを静寂が包んだ。
初めてかもしれない。兄弟で、お互いにここまで感情的な言い争いをしたのは。
荘厳はいつでも一歩下がった位置にいて、自らの我を通すことは少なかったから。
荘厳「……私、知っていました。男様が、どのような気持ちで私に接していらっしゃるのか」
これまでとはうってかわった、静かな口調だった。
今にも泣き出しそうな小さな声で、荘厳は言葉をつむぐ。
荘厳「でも、私はそれでも良かった」
兄「!! …お前……」
兄の肩がびくりと震えた。荘厳の口から出た言葉が、信じられないという表情だった。
荘厳「男様が側にいてくだされば、それで良かった。対等じゃなくても、男様が私の側から離れられなくなるなら、それでも…」
兄「やめろ!!!!」
これまでにない、強い口調。
怒りとも悲しみともつかない、歪んだ表情で兄は叫んだ。
荘厳「!!!」
兄「男を不幸にしてもいいのか!? 男だけじゃない、お前だって傷つくだけだ!!」
荘厳「…私は、男様が側にいれば幸せでしたわ!!」
兄「そう思い込もうとしていただけだ!!」
荘厳「!」
荘厳は押し黙る。
沈黙。2人を押しつぶさんばかりの、重苦しい沈黙だった。
喘ぐように呼吸をした後、口を開いたのは兄だった。
兄「……お前は、男を墜としてまで幸せになれるような、強い人間じゃないだろ」
荘厳「……」
荘厳は何も言わない。
兄「墜として、縛り付けて、それを幸せだっていえるような、酷い人間じゃないだろ」
荘厳「…それでも、私は……」
荘厳は、それ以上言葉を続けることが出来なかった。崩れ落ちるように、床に座り込んだ。
顔を手で覆い、声もなく泣き続けた。
兄「…荘厳…」
兄もそれ以上、何も言えなかった。ただ一言名前を呼んで、静かにリビングを後にした。

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