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無駄に荘厳

358 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/05(土) 05:45:25.51 ID:oyqAoFYg0

リビングでは、兄がただ何をするでもなく座っていた。
ここのところ、妹である荘厳とは会話を交わしていない。
原因はわかっていた。あの、男とのやり取り。
あれ以来、荘厳の口から男の名前が出ることが少なくなった。
名前が出てきたときでも、話しかけてくれなかった。態度がよそよそしかった、というマイナスの報告を伴っていた。
きっと荘厳は気付いている。その理由が、兄の自分であることを。
重苦しいため息が漏れるのと、ガチャリと音を立ててリビングのドアが開いたのは、ほぼ同時だった。
兄が肩越しにそちらに視線を向ける。荘厳が兄を睨みつけるように見つめていた。
荘厳「…お兄様、男様に何を言いましたの?」
いよいよ、きた。
いつかは聞かれると思っていた質問。しかし、いざ実際にその場面になると、さすがに動揺した。
兄「……間違ったことは何も言ってない。ただ事実を告げただけだ」
声が震えていなかっただろうか。
荘厳のオーラは兄にまで影響を及ぼすものではない。
しかし、その完璧な美しさを湛えた表情に浮かぶ、悲しみ、憂愁、そして怒りは、圧倒的な威圧感を見るものに感じさせた。
荘厳「…やっぱり、お兄様のせいだったのですね。男様が…私にあんなことを言われたのは」
兄「な……あいつ、お前に何を言いやがった!!」
兄は思わずソファから立ち上がる。荘厳と、正面から向き合う形になった。
荘厳「…『もう俺には話しかけるな』、と」
兄「…あの野郎、よくもぬけぬけとそんなことを…」
拳を握り締めた兄に、荘厳はキッと鋭い視線を向けた。
射ぬかんばかりの、怒りを含んだ強い視線。
荘厳「男様を悪く言うのはやめてください!! 元はといえば、お兄様が男様に何か言ったのが原因なのでしょう!?」
兄「俺はお前のために、男の意思を確認しただけだ!」
荘厳「男様との関係は、お兄様に口出しされるようなものではないと言ったはずです!!」


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